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シャマラン監督『OLD』あっさり感想(ネタバレ有り)

タイトル通り、シャマラン監督の『OLD』を観たので、その感想をば。ツイートするにはネタバレがあるし、かと言って、よく見かけるフセッターってやつの使い方を知らないので、ブログで。

トリッキーな設定の超常現象モノを観ると我々ワガママな観客は、「この超常現象が起こる理由とは?」という部分もきちんと合理的に、必然性があって主人公達に降りかかった超常現象だと説明されることを望む。これにちゃんと応えたのが『GANTZ』であり、ガン無視したのが『僕だけがいない街』だ。「なぜ死んだ者がアパートの一室に転送されて、異星人達との殺し合いを強いられるのか」という読者の疑問に、GANTZはきちんと筋の通った理由を用意していた。一方、『僕だけがいない街』は、「タイムトリップ現象はこの作品世界の中では存在する現象なんです!もうそれは何故?とか原理は?とか理由は?とかいう疑問を持つモノじゃなく、あるものはあるんです!たまたまそれに遭遇した人物の人生を描いているだけです。タイムトリップ発生のタイミングがご都合主義過ぎる?ええい、やかましい!」といった塩梅だった。

もちろん、説明の筋は通っているけど内容がつまんねーな、という作品はいくらでもある。逆に、超常現象の理由とかは考えずに「あるものはある」と受け入れちゃえば面白え〜、という作品もいくらでもある。ホラー映画にいちいち「死後に幽霊として出現する場合としない場合の違いは?どういう法則性があるんだよ、説明しろ!」なんてツッコミは野暮だ。

で、シャマラン監督の『OLD』である。「バカンスに訪れたビーチの時間の流れが超絶速い」なんて設定は、そりゃ「何故そこだけそんな現象が起こるの?」「主人公達はたまたま訪れたの?それとも選ばれたの?たまたまだったらつまんないよね、選ばれたんだよね?それもきっと、面白い理由で選ばれたんだよね⁉︎」という観客のパワハラめいた疑問と期待が殺到すること必至である。ただ、「時間の流れが異常に速い」なんてのは、「そこだけ地球の磁場が〜」とか「特殊な気候で〜」とか、そういう「あるものはある」系の説明以外を作るのは難しい。そして、それでは我々観客は納得しない。「神が来るべき人類滅亡に備えてノアの箱舟を作り、新世界に連れて行くに値する人間を選抜するために過酷な試練を与えたのだ」みたいな理由でもイケるが、「ああ、そうっすか……笑」感は否めない。

そこでシャマラン監督は、主人公達がビーチに閉じ込められて早々に、何者かが遠くからビーチの様子を監視していると明示することで、「時間の流れが超絶速い現象自体は、特殊な環境によって存在するもの。あるものはあるのです!ただし、主人公達がこの地を訪れたのは偶然ではなく何者かの意思が働いており、その理由は面白いですよ」というエクスキューズをさりげなくしている。このバランス感覚は、流石に巧いなあと上から目線に感心しました。難しい問いをさりげなく躱して、簡単かつ刺激的な答えを返す論点ずらしのプロ、ひろゆき氏や橋下徹氏に匹敵しますなあ、というのは、あまりにもシャマラン監督に失礼か。

感想は以上です。あんまり評判良くないらしいですが、最高傑作の『アンブレイカブル』あるいは『ミスター・ガラス』には及ばないものの、映画館で観る価値ありの一作でしたよ。

あと、シャマラン監督、カメオ出演の範囲を超えてんじゃん、出たがりやなあ、小林賢太郎かよ、とも思いました。終わり。