沈澱中ブログ

お笑い 愚痴

特派員RECの部屋のポスター

 MIU404、オモロかったですなあ。菅田将暉が大好きなんで、テンション爆上がりでしたわ。んでまあ、ボサッとTwitter観てたら、宇野維正はんが特派員RECの部屋に貼られた映画『ナイトクローラー』のポスターについて、『あの部屋に住むYouTuberのチャンネル名で、それをポスターで念押ししてるところがクソ寒い』っつーツイートをしてはったので、それについて思ったことを記しておく。

ナイトクローラー』(傑作!)を観たら分かるけど、あの映画の主人公は刺激的な映像のためなら何でもやる激ヤバな屑なので、あの映画をちゃんと理解した上で主人公に憧れてYouTubeで似たような活動を始める奴は、本来もっと悪い奴なはずなんですよ。ネットで嘘かまことか分からない情報を拡散することの危うさに自覚的でありながら、「再生数が伸びるなら、それの何が悪い」と嘯くようなタイプ。「It's Media」という風刺画がありますけど、あの絵でカメラを構えているのが、『ナイトクローラー』の主人公です。

 でもRECは最初から、アホではあっても根っからの悪党ではなかった。作中で根拠不明な陰謀論を拡散していた多数のネット民と大差ない訳です。何人か、「あの映画に憧れてYouTube活動を始めたRECは、意外と自覚的な悪党だったのか」的なツイートをしている人がいましたが、個人的には違うと思っていて、RECはやっぱり久住のような自覚的な悪ではなく、無自覚に悪い結果をもたらすアホですよ。『ナイトクローラー』の主人公は、映画観りゃ分かりますが、屑やけどまあ格好良いんですよ。フリーのジャーナリストとしてのし上がっていく様も、観ててテンション上がっちゃうし。日本史の教科書読んでて、日本がロシア倒した辺りでやっぱちょっとテンション上がっちゃう感じっすわ。でも普通の人は「とはいえ、戦争はいかん」と思うように、あの映画を観て、「とはいえ、こいつヤベえな」と薄ら寒さを覚える訳ですが、RECはついヤラれちゃった訳ですよ、ナイトクローラーの表層的な格好良さに。

 てな訳で、『ナイトクローラー』を観て痺れ、そのタイトルを冠したYouTubeチャンネルを開設して似たような活動を始めちゃう、でもその割に映画の主人公のように平然と一線を超えるヤバさやある種の覚悟は持ち合わせていない……というRECのどうしようもないほど人間臭い底の浅さを、広い家の壁にどーんと飾った『ナイトクローラー』のポスターは象徴している訳です。『仁義なき戦い』や『アウトレイジ』を観て、ヤクザ社会の容赦なさや残酷さ、悲哀を感じた上で登場人物達の色気を感じるのではなく、シンプルかつ無邪気に「ヤクザかっけえ!」とはしゃぐ人は案外少なくありませんが、RECはまあ、要するにそれと同じです。

 俺は、あのポスターが映り込んだ画をちょいとダサいと感じましたが、その画のダサさはREC本人のダサさと直結してる訳です。宇野はんの言うように、あのポスターを映り込ませることそのものがダサいとは、思いませんでした。

 てかそんなことより、やたらと持て囃されている「It's Media」の風刺画の方がダサくないですか。わざわざ書くなよ、「It's Media」って文字で。絵ェ見りゃ分かる。開始5秒で設定を独り言で説明するコント師か。まあアンジャッシュの場合は、最短ですれ違いの世界に突入するための技やからええけど。アンジャッシュのコントは新本格ミステリですわ。コント仕掛けのスペシャリスト改め、コント界の麻耶雄嵩を名乗っていきませう。復帰、待ってまーす。終わり。

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